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給付一本化 税額控除で変わるか? 60歳前後の働き方と年金

給付付き税額控除は、実務者会議で「所得と連動させた給付に一本化」との方針が公表されました。6月には中間まとめ案が出るそうです。

高齢者、これがかなり議論になっているんです。ということは、年金のもらい方、働き方、金融資産の持ち方に大いに影響してきます。だから今、考える意味があります。

 

■ 給付一本化とは?

そもそも「給付付き税額控除」とは何か。――税額控除額に達するまでの税金を納めていない場合、控除額の残りの分に相当する金額を現金給付する、というものですね。給付と減税を一体化するものです。

簡単に言うと、支払税金が2万円、税額控除が5万円なら、「5万円-2万円」で3万円が現金でもらえる仕組みです。詳しくは、こちらの動画もご覧ください。

これを給付1本で進める、というのは、どういうことでしょうか?

「すべての人に現金支給する」・・・・なんだ、ただのバラマキか。

――見方によっては、単なる給付に見えます。そうなると、この制度の真の目的「中・低所得者の支援」ではなくなるように見えます。

そこは、こういうことです。

一定以下の低所得者層には定額給付。さらに一定の所得基準を設けて、それを照準に給付額を逓増、

その基準を超えると逓減していく、つまり低所得者を支えるための仕組みです。子育て世帯への加算も配慮されます。

 

■ 年金受給者にも影響

給付と税額控除のセットのはずが、なぜ給付だけになったのか。理由は次のように推測されます。
1.
低所得者対策を急ぎたい
2.
減税設計は複雑で時間がかかる
3.
財源・制度設計が固まっていない

 

一部には、「給付だけにするなんて、詐欺や」という声もありますが、応急処置として給付を先行するのは、制度設計の複雑さからして、やむを得ない部分もあります。

ただ、この「給付一本」が恒久化されるのか、「プラス+税額控除」へと段階的に進めていくためのプロセスなのか、今のところ分かりません。

そこで、冒頭の問いに戻ります。

「なぜ年金受給者にも影響が出てくるのか?」

「もともとこの制度は、いったい誰のもの?」

――制度の主な対象者は、中・低所得者です。この人たちは、税の恩恵を受けにくい立場にあるからです。

そして、社会保障国民会議では、給付の対象者

・一定の勤労収入のある人

・一定の社会保険料を払っている人

として「個人」に絞っています。いわば、就労促進です。

となると、年金受給者は除外、ともとれます。でも、年金受給者でも働いていれば社会保険料を払っている。となると、表向きは年金受給者も対象、となる模様です。ただ、一律に対象になるわけではありません。それをこの後、見ていきます。

 

■ 年金受給者はどこまで含める?

そこで、年金を所得とみるか。ここが焦点となってきます。なぜなら、所得水準によって給付額が変わってくるからです。

・「年金+勤労収入」の人

・「年金+勤労収入なし+金融収入(利子・配当金)」の人

・「年金+金融資産の取崩し収入」の人

現状、こういう人たちがいるのですね。こういう人たちの扱いは?

現在わかっていることは、

「働いていて社会保険料負担が年金受取を上回る中・低所得の高齢者」を対象に含める方向で議論されているようです。つまり、働いていない年金受給者を含めるかは未定です。

このような“60歳前後の人にとって重要なのは、

・年金受給
・就労継続
・資産取崩し など

――後半人生の分岐点がここに集中しているということです

 

■ 「収入が低い=支援対象」とは限らない

このような高齢者の人たちへの対処は? 議論の本質は次のようになります。

・「年齢ではなく状態で分ける時代へ」

・「所得」と「資産」をどう見るか」

給付付き税額控除は本来フロー(所得)を見る制度ですが、現実にはストック(資産)が大きい人もいる。ここにズレが生じています。

そこで、この制度で影響を受けるケースを考えてみます。

属性

制度上の見え方

対策のポイント

低年金で無職の人

救済対象か微妙

資産取崩しルールを確認する

年金受給中で低所得×資産運用中

低所得者と判定されるもらえる可能性

所得の実現タイミングを調整する

勤労継続中

給付対象の最有力候補

控除対象の枠内収入を意識する

要するに、収入が少ない人=困っている人とは限らない、ということです。特に、金融所得の扱いについては、今後の詰めとなるようです。

 

 ライフプランへの影響

まだ詳細が発表されていない今、「決まってから動けばいい」と思っていませんか? 実は、この制度が本格始動した瞬間、『知っていた人』と『そうでない人』の間で、老後の対策に明確な差が生まれます。

大枠の方針はすでに動き出しています。まだ決まっていないからこそ、今のうちにどういう状態を作っておけば有利になるのかを、先回りして整理していきましょう。

当面、給付1本で先行となると、所得によって給付額が変わる。それなら、 制度によってどう見えるかを意識することが大事です。

次のパターンのシニアの方、今後の行方に注意が必要です。

・年金だけもらっている

・年金はもらっていないで資産取崩しのみ
・金融所得がある

どれも給付から外れる可能性があります。

特に年金をもらう人の対策は年金制度で解決すれば、という意見が出ています。もっともです。「給付付き税額控除」は税制度の改革ですからね。

 

資産状況のデフォルトになる

制度はまだ途中です。だけど分岐点は見えています。
・給付対象は?

今のところ、年金受給者、会社員、パート・アルバイト、子育て世帯、フリーランス、遺族年金・障害年金受給者など広い層が対象に含まれる見込みです。

ただ、年金受給者は今見たように無条件に該当するかは、議論が分かれています。

・給付額は?

これは諸外国の例も参考に「中間まとめ案」で、はっきりするでしょう。

この制度の本質は、給付金額も大事ですが、私たちの所得や資産データがタグ付けされるという点です。

一度この制度の対象として組み込まれると、将来的に社会保険料の計算や、他の減免措置、あるいは年金の受給繰り下げ戦略と連動して、「資産状況がデフォルト化」されます。ここにマイナンバーと公金受取口座の紐付けがされます。

これを「所得が監視される」と取るか、時代の趨勢に乗り「資産管理・形成のチャンス」と取るか――。

「自分には関係ない」とスルーすると、後々、もっと大きな影響を受けるルール変更の波に気づけなくなるかもしれません。

だからこそ、今このタイミングで対象になるのかどうかという境界線をチェックしておくことが重要です。

 

■ まとめ

さいごに大事なこと。設計によっては高齢者で一番困っている低年金層が外れる可能性もあることです。

仮に「働いている人を対象に絞る案」だと、働けない人は対象外、少しだけ働く人は対象で、新しい不公平が生まれる可能性もあります。働けるかどうかで支援が分かれる社会になると、制度から漏れる人が出る懸念もあります。 その場合、どこまで他の支援制度で支えられるかが課題です。
このように、設計次第で有利・不利になる人が出る可能性があります。

中間まとめ案を待って、具体的に整理したいと思います。

 

2026.05

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