8.ギャンブル依存症

ギャンブル 

■ギャンブル的投資にハマる心理的段階 

 

「ギャンブル依存症」(Gambling addiction)とまでいかなくても、一般投資家にとっても同じような心理で「ギャンブル的投資」にハマってしまうことがありえます。そのパターンは、行動経済学的に2つあります。それはリスクを客観的確率主観的確率から見たものです。 

 

第1のパターン 「勝ちの可能性」の確率が低い 

これは、1万円出して「2%の確率で100万円が手に入る(掛金の100倍)」98%の確率で1万円の損失)というのがその例です。「勝ち」の確率が低いほど徐々に野心的になり、賭けを取り続けることになります。低い確率でもお金がある限り少額ずつでも注ぎ込んでいき、いつか掛け金は大きく膨らんでいます。いわば「現実(勝ち)の可能性の確率」2%)と「主観の確率」(「もっと勝てるはず」)との間に大きなギャップが生じているのです。現実の可能性の確率はかなり低いのに、主観が大きすぎる場合です。

第2のパターン 「負けの実現性」の確率が高い

これは、1万円出して「98%の確率で手元の100万円を失う(101万円の損失)」2%の確率で100万円手に入る)というものです。「負け」(損失)の確率が高くなるほど、この負けを覆そうとして狂乱的になり、「一か八か」の博打に出るのです(大金をはたく)。これは「現実(負け)の実現性の確率」98%)と主観(「大逆転勝ちだ」)との間にやはり大きなギャップがあるからです。 

 

どちらのパターンも同じと思われるかもしれませんが、第1のパターンは、「勝ち」を逃しても損失は掛け金の1万円だけです(当たれば大きい)。第2のパターンは「負け」ると「1万円+100万円」の損失です(負ければ大きい)。 

 

人が破滅するのは、「怖れ」にとり憑かれた時です。これは第2のパターンです。お金の価値観というのは、たとえ1万円の損失でも直接の心理的要因となってその人の生活感覚を脅かします。明日から地を這う破滅者になり下がるという「怖れ」の前に、人は追い詰められて大博打の行動をとるのです。 

 

●ギャンブルに至る心理的段階 

いきなりこんなギャンブルに出るわけではありません。そこに至るには、心理的段階があるのです。

a.
賭けが常習となる段階
最初は夢を買っていますが、それが常習化していきます。1回の賭け(投資)がそこそこの額なら、負けてもその場で「怖れ」につながるものではありません。それなりに勝ち負け(儲けと損)のスリルを味わうことができます。

b.
「一か八か」の賭けに出る段階
 

日常的に株式投資をしている人が、損失が膨らんで取り返しのつかない金額になったとします。このままでは1000万円もの負けが決まるという時(負けの実現性が高い)、売却して損失を確定するか、「一か八か」で大逆転に出るか。むざむざ大損するくらいなら、とボーナスやら退職金、挙句は貯金をはたき出して数百万円単位の額で、すぐ儲かりそうなハイリスク商品に一点集中、一気に投資してしまいます。

 

●ギャンブル的投資にハマらないために

【対策】

ポイントは、第1のパターンから第2のパターンに移る中間段階にあります。この段階ではまだ、「怖れ」がそれほどないので、損が出てもリスクを無理に取ろうとしません。


損失が拡大し、もう取り返しがきかないという「怖れ」が出てくる第2のパターンの段階が訪れないうちに、投資をやめる決断をすることが肝心です。逆説的に、ギャンブルは少額で常習化している段階が一番怖いと言えます。ここで踏みとどまれないと、ギャンブル依存症になる可能性が高くなるからです。

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