6.リスク回避

老後リスク

リスクの捉え方と心理的行動 

 

人は「リスク」(Risk)をどういう時に強く意識するか? 特定された「自分」という個人に限れば、事故に遭うとか突然病死する確率は非常に低いものです。行動経済学では、人は確率が低いにもかかわらず、「自分」がその何百分の一の確率に的中したらと考えると不安になりリスクを巨大化し、その確率の的中を怖れて「リスク回避」の行動をとります。保険に入るのはその典型です。 

 

a.「負の穴」のリスク 

今は何ら怖れがなくても明日の見え隠れする危険に人は備えています。保険は人生の「負の穴」を埋めるための方法と言えるでしょう。「負の穴」のリスクとは、病気やケガ、災害、死亡という不時のマイナスのライフイベントのことであり、人生行路の途上で突然落ちる「穴」という意味です。

 

b.「下り坂」のリスク
一方、徐々に資産が足りなくなって最後は貧窮するリスクがあります。これが「下り坂」のリスクです。このリスクは、突然落ちてしまうものではなく、まだ大丈夫と思っているうちに徐々に滑り落ちていき、気が付いた時にはもう這い上がっていく余力がなくなっているリスクのことです。眼前に見える「坂」は、見方によっては平坦にも見えるし、上り坂にも見えます。下って落ちている時ですら、本人は道をまっすぐに、いやむしろ上がっているようにさえ錯覚するリスクです。

 

c.「老後」のリスク
 老後のリスクとは、まさにこの下りの「坂」に譬えられます。この坂を下りきるのに何年かかるか。それは人によって違いますが、下った先は確実に貧窮です。下りきる前に駆け上がって戻らなければならない。この状況そのものがリスクなのです。なのに、リスクを目の前に捉えられないということは、何年もかけて限りなくゆっくり、しかも確実に坂の下に向かっているからです。その途上で不慮のリスク(「穴」のリスク)が現実化すれば、下りきる前に破滅に至るのです。

人は30年、40年先のことはリスクをリスクとして捉えにくいものです。これは、リスクの確率が高いのにそれを見ようとせず、ゆえにリスクに付き合っていることになります。怖れにつながることは未来へと遠ざけてしまうことで、むしろ無意識にリスクを抱え込んでいるという意味で「リスク愛好的」であると言えます。
 

 

●老後リスクの対処法とは

老後のリスクについての対処法は、例えば定年後に収入が減ったりゼロになった時のことを、今から1ヵ月後のこととして現前化(目の前に現す)してみるといいでしょう。公的年金だけで生活していけるか、貯蓄や資産は十分あるか。このリスクは運用で回避できないのか? だが、運用で思うように簡単に老後リスクを回避できると考えるなら、それもまたリスクなのです。

このようにまず、リスクの先にある状況をイメージ化する必要があります。そこで、主な老後リスクを挙げてみます。
・お金がなくなる。
・病気になる。
 

・働けなくなる
・住む処がなくなる。
 そして、
 

・孤独になる。

「お金がなくなる」ということは、収入が減り(あるいはゼロになり)、収入(資産)よりも支出(負債)が多い状態から起こります。「病気になる」、「働けなくなる」、「住む処がなくなる」というのは、突き詰めればお金があればなんとかなります。「孤独」はお金があってもなくすことはできませんが、そもそもお金そのものがなければ深刻な状態になるのです。
 

 

そこでお金がなくなるリスクについて数字化してみます。まず、今の収入と生活でいくら貯蓄できるか。これから定年退職までいくら貯まるか。その貯蓄と退職金、加えて公的年金で何年もつかを計ってみます。世間的に生活費の平均はいくらかなど考えないようにします。あくまで自分の暮らしではどうなのか。それによって何歳まで働くか。「収入」と「支出」と「貯蓄」、これが重要な3項目となります。

「穴」のリスクに対しては、今から早めに考えておかなければなりませんが、問題は今、老後のリスクを目の前に見て、「坂」を下って行かないようにすることです。その手始めが、リスクを現前化することなのです。

 

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