5.フレーミング(枠組み的思考)

投資詐欺 

■「枠組み的思考」で投資詐欺にハマる心理的行動

 

「フレーミング」(framing)は「枠組み的思考」のことで、物事を枠(frame)にはめて定型的かつ即時的に判断してしまうことです。人は、意識が枠にはめられると、あるものを別の似た形に変えられてもその本質を見破れずに同じ形だと信じ込んでしまいます。そこに欲求が絡むといとも簡単に詐欺にハマってしまうのです。

 

実際に詐欺にあっている時、人はどういう心理状態にあるのでしょうか。さしずめ、「現実が見えていない」「冷静さを失っている」「(お金が増えるという)夢見心地」といったところでしょう。こういう状態にいる時、人はなかなか覚醒できません。 

 

a.将来の不安が常にある 

不安は心を曇らせます。心が曇ると、目も曇る。目が曇ると聴く耳も鈍り、欲求が頭をもたげます。不安の心があると、人はつい騙される。「老後のカネが足りない」「あと月々10万円入れば安心だが」。月々10万円の不足をどうするか。定年前から貯蓄し、運用する。これは地道ですが、効果はあります。効果はあっても、時間がかかります。そこで人は、近道を行きたがるのです。

不安によって理性が鈍り、お金を「すぐに簡単に」増やしたいという欲求が疼き出すと、妄想というべき夢が肥大していきます。そこに魔の声が囁きます。「簡単に儲かりますよ」。こうしていともたやすく、詐欺にハマるのです。

b.
幻想を現実と錯覚する
投資詐欺では、詐欺をする側のキャラクターやその場の雰囲気によって詐欺にハマる側の感性(情)が誘導され、理性を失い、欲求が膨らんできます。高額配当や高利子を謳う詐欺では、最初の数回は約束通りのお金が振り込まれます。これで普通は信じてしまいます。じつは、ここに至るまでの時間が理性を取り戻すチャンスなのに、欲求から生まれる幻想を現実と錯覚して、罠に囚われることになります。

 

c.感性が惑わされている
なぜ理性を取り戻せなくなるのか。それは、人が騙されるのは単純に感性(情)の部分が大きいからです。感性の部分で騙されるから生半可な理性の力では対処できない。感性の力は、しばしば理性よりも敏感に速く反応し、しかもその力は強大です。理性はあとから、ゆっくりゆっくり検証します。そして、ずいぶんたって気づくのです。「騙された」と。 

 

d.基本的知識が欠如している 

理性の力が低下すると、不安から逃れたい欲求は誘惑」を押しのけることができません。不安や焦りは感性の部分からくるので、それが肥大しないように隣にいつも理性を寄り添わせておくことが大切です。


理性といっても基本的な知識で足ります。例えば高利子の投資話で「利子25%」がどういうことか普通に考えてみるといいでしょう。1000万円出資して250 万円の利子、月額にして20 万円超。預金利率に比べれば相当な数字です。「投資信託では月間騰落率が30%、40%は当たり前ですよ」とリターンランキングを見せられると簡単に納得し、利子率と騰落率の区別もつかず、同じ利子がずっと継続するものと信じてしまいます。

 

これは利子率も騰落率も配当率と同じものと考えて、その率が永続すると錯覚してしまうバイアスです。つまり、「入ってくる」お金は「収入」であるという枠組み的な思考であり、その収入がずっと続くのだと錯誤するのです。 

 

騰落率は過去の一定期間の成績でしかなく、3040%ものリターンがずっと続くはずがないと思うのが普通なのです。配当にあっては無配当になることもあれば、毎月分配型投資信託のように利益がなくても元本が取り崩されて自分の投資額が「入ってくる」(戻ってくる)にすぎません。

では、投資詐欺にあわないためにどうすればいいか。理性と感性と欲求、詐欺にあう人は、この3つのバランスが崩れていると言えるでしょう。欲求に負け、感性が狂わされ、理性が働かなくなる。こうして理性と感性の調和が崩れると、人は欲求に傾いていきます。理性も感性も日ごろから少しずつ磨いていないと廃れていくようになるわけです。

 

理性は、基本的な知識を吸収し、思索することで磨かれるものです。感性は、良き人間関係を持ち、良き芸能芸術や自然に親しんで、心を静めることで澄んできます。このようにしておくと、見せかけの話にも欲求はなびかなくなります。そのためには高齢者に限らず、日ごろから孤立せず、客観的にアドバイスしてくれるパートナーと相談できる関係を保っておくのもよいでしょう。ひとこと返答をもらうだけでも、はっと我に返る、つまり小さき理性が目覚めるものです。

 

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