3.アンカリング(意識の錨掛け)

 賃金格差 

■意識に掛かる心理的な「錨」(アンカー) 

 

人は定年までにどれだけのお金を稼ぐのか。そこで、統計資料に基づいて大企業(1,000人以上)、中企業(100999人)、小企業(1099人)の生涯賃金を45年間(22歳~67歳)として計算してみました(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」平成29年度資料より作成)。

大企業 : 約18738万円
中企業 : 約15660万円
小企業 : 約14526万円
 

 

大企業と中企業との生涯賃金差はざっと3000万円超、大企業と小企業との差は約4200円です。こ

れらの賃金差がどこまで実感できるかは人それぞれです。平均というのは、単に個別をならしたもの

だからです。 

 

しかし実際には、人の金銭的価値観は統計的な指標にしばしば捉われがちです。上に挙げた大企業、中企業、小企業の「平均」賃金レベルが、意識のどこかで錨(いかり)のように引っ掛かってしまうからです。これは行動経済学でいう「アンカリング」Anchoring)です。アンカリングというのは「錨を掛ける(係留する)」という意味で、意識の中でその錨を掛けた所で他人と比較してしまうわけです。

大企業・中小企業にかかわらず、会社の社員は、自分と他人との賃金差は個人の持つ「能力・技能差」によるものだという錯覚があります。じつは、「賃金差の50%は、個別の労働者の技能水準によるものではなく、働いている企業次第である」ということを、行動経済学者も述べています。勤労者が転職したときの賃金は、たとえ技能水準が同じ人でも転職先の企業によって異なってくるというのは転職経験者ならおわかりでしょう。

 

これが現実であって、大企業に入れなかった者は生涯どの時点においても企業規模による賃金差は挽回できないことになります。では、個別的なライフプランを考えるにあたって、「平均」という錨を取り払うにはどうしたらいいでしょうか。

 

1つは、平均的数字は単なる目安として割り切ったうえで、個人のライフプランの現実を正しく認識することです。収入の多い人もいれば少ない人もいる、支出も多い人と少ない人と多様です。そういった現実からスタートするのです。

もう1つは、「逆アンカリング」という考え方です。人の意識に引っ掛かる(係留される)心理は逆にも応用できます。老後設計においては、まず自分の老後に必要な金額をはじき出し、次にその金額を自分自身の意識に自分から錨を掛けることで、常にその目安に向かって行動するようになります。それが自然に心の錨となって、次第に無意識に定着します。
 

 

例えば「3000万円あれば65歳からの生活が安定」と試算されたら、その金額と年齢を意識付けてみる。注意すべきは、この金額「3000万円」は統計などの平均額からではなく、あくまで個人の現実的な見込額から出すべきものです。統計データで出された平均額から意識付けされたものは、個別的かつ具体的にイメージ化されなければ、不安材料となるだけだからです。 

 

次に、上記によって出された金額を目標の年齢までに実現するために、現実的な方法を考えてみます。3000万円」65歳」。これが、今の錨(アンカー)です。この錨を最終的に手元に引き上げる方法となる基本が勤労収入です。月並みですが勤労は最も堅実な方法で、この収入をいかに多くするかで老後資金は大きく変わります。今や65歳以上の勤労は普通で、65歳以降何歳まで働くかを見込んでおくことで必要な生活資金は相当に確定化されます。

 

TFICS ティーフィクス

 

お気軽にご相談ください

お問合せはこちらから

 

・個別相談 

・業務依頼

・ご質問

 等