6.定年時には消えている? 退職金

●退職金はあてにできない?

60歳以降の賃金があまり当てにならないことは見てきました。では、退職金はどうか。またいくらもらえるか。ほとんどのサラリーマンは、退職金をあてにしているし、当てにしているからこそ定年まで頑張っていると言っていいでしょう。しかし、この退職金が思っていた金額ほどもらえない、あるいはほとんどもらえないとなるとどうなのか。今40歳以上の会社員は、入社時に渡された退職金規定には「何年勤めれば退職金はいくらもらえる」と表記されていたはずです。残念ながら、その退職金はもう当てにならないとしたら・・・。

 

仮に大卒で60歳定年の総合職で退職金として2,000万円支給されるとします。40歳代で住宅を購入して60歳手前でのローン残額が約2,000万円とすると、残債を一括返済すると退職金は跡形もなく消えてしまいます。これに大学在学中の子どもが1人でも残っていると、文系の授業料でも年間7080万円かかります。さらに60歳から65歳までの間に毎月の給与が半減した分の補填をしていけば、退職金と貯蓄はすでに残っていないかもしれません。

 

●受け取り方よりも、いくらもらえるかが大切 

退職金を一時金でもらうか年金としてもらうか、どちらが得かは税制上、運用上の損得を考えると一概には言えません。一括受取の場合は税制優遇として退職所得控除があるし、年金受取の場合は運用利回りとしての金利上乗せ分があります。現実的には、7割超の退職者が退職一時金と退職年金の併用としています(「退職金・年金に関する実態調査結果」)。

 

ここで喚起したいのは、退職金の受け取り方の損得ではありません。退職金の金額が想定通りもらえるかという点にあります。

 

日本の退職金は長い間、退職時の給付額が会社によって保証されていました。入社時に退職給与規定で35年間勤務すると2,500万円と決められていれば、その金額通りに会社は支払いをする義務があったのです。このような退職金給付制度を確定給付年金DBDefined Benefit Pension Planといいます。つまり、「給付」額が確定している退職金制度です。

 

この給付制度では企業の実績が下がった場合でも、この給付額の支払いを保証しなければならないため、企業にとっては大きな債務負担となり、将来のリスクともなっていたのです。社員にとってはありがたい制度でしたが、そのリスク解消こそ、会社の退職給付制度が変わらざるをえなくなった理由の一つです。

 

→ 対策を考えよう 「ブログ New Street」

 

 

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