「繰上げ返済は、もう古い」のか?

 日経新聞の広告を見て、おや、と思いました。預金連動型住宅ローンはそんなに有利か。普通預金を預けるとそれと同額分の住宅ローン金利が、0%になるという、最初見たときは嘘のような記事です。この種の商品は前から出ていましたが、広告が出てくるたびに新しく思えるから不思議です。

 

 確かに、預金と同じ金額分のローンの金利がなくなるというのはかなりトクする気がします。たとえば、極端な話で考えます。残りのローンが1000万円あるとします。この銀行に1000万円を預金すると、残っているローン1000万円について、金利を払わなくてすみます。あとはせっせと、地道に元本だけ返していけばいい、ということになります。

 

 基準金利が2.80%~3.75%だから、これは大きい。・・・しかし、ちょっと考えてみましょう。ローンの残りが1000万円あって、手元に1000万円あるなら、何もローンに連動して預金などしておかずに、さっさとローンの元本を返してしまえばいいでしょう。つまり、繰上げ返済です。それでローンがなくなるのだから、かなり身軽になれます。あとは、好きなものを買うなり、普通預金以上の利回りの運用にまわせばいいのです。  

 

 いや、そんなことしなくたって、ローン金利がゼロなんだし、ローン連動預金のうち預金の分には利息が付くはずだし、安全・便利だと思う・・・でしょうか? じつは、新聞広告の小さな文字を読むと、ローンと連動している普通預金には利息はつかないのです。

 

 えっ!? 結局、銀行は繰上げ返済させずに、難なく預金を集めることができるわけです。よくできているし、だれも損はしない。だれも損はしないが、トクするのは、結局この銀行だったりするわけです。
 

(2009.05.23)

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