金融9. ポートフォリオと証券分析

相談者のプロフィール

友人から証券投資を薦められた商社勤務のL子さんは、このほかにもいくつかの証券を比較し、収益率を分析することにした。

相談事例

友人から紹介された証券YG、証券YZを比較しましたが、どちらが有利か分かりません。収益率やリスクの計算方法はどのようにするのでしょうか。また、どちらに投資するか、それとも両方を半々に投資して保有した方がリスクが低いか、その判断の仕方も教えて下さい。

FPの回答

一般に、いくつかの証券を分析して保有(投資)することにより、リスク分散がはかられます。しかし、単独で保有するか、ポートフォリオで保有するか、どちらが有利になるかは証券の配分率により、期待収益率標準偏差で測ることができます。

.期待収益率
投資前に具体的な数字に基づいて実現しそうな確率を決め、それぞれの投資収益率を加重平均することで、その投資収益性を計測する方法です。
L子さんが投資する証券

ケース

確率

証券YGの収益率

証券YZの収益率

状況 A

0.3

40%

30%

状況 B

0.4

20%

10%

状況 C

0.3

-10%

5%

 

 証券YGの期待収益率

0.3×40%+0.4×20%+0.3×(-10%) =17.0%

(状況Aの生起確率×状況Aの収益率)+(状況Bの生起確率×
状況Bの収益率)+(状況Cの生起確率×状況Cの収益率)

 

証券YZの期待収益率

 

0.3×30%+0.4×10%+0.3×5% =14.5%


.標準偏差
実際の投資効果が、事前の期待収益率に対しての散らばり度合いがどれくらいかを示す統計的な数値を「分散」および「標準偏差」といいます。

分散・・・実現の可能性のある①各収益率から期待収益率を差し引き、②その差(偏差)を2乗して、③生起確率を掛け、それらすべての値を合計した値です。
標準偏差・・・分散の平方根で現す。投資リスクを考える時、一般にこれがよく使われます。

証券YGの分散 =(40%-17%)2×0.3+(20%-17%)2×0.4+(-10%-17%)2×0.3 =381(%)2
証券YGの標準偏差 =38119.52%

証券YZの分散 =(30%-14.5%)2×0.3+(10%-14.5%)2×0.4+(5%-14.5%)2×0.3 =107.25(%)2
証券YZの標準偏差 =107.2510.36%


.ポートフォリオの収益率とリスク軽減効果
ポートフォリオの収益率は、各投資信託の収益率をその投資比率で加重平均したものです。
証券YGと証券YZを 「
5:5」で保有するときの「ポートフォリオ YG Z」の期待収益率分散標準偏差は、次のようになります。

ケース

確率

証券YG

証券YZ

ポートフォリオ YGZYGYZ= 5:5

状況A

0.3

40%

30%

(40%×0.5+(30%×0.5=35%

状況B

0.4

20%

10%

(20%×0.5+(10%×0.5=15%

状況C

0.3

-10%

5%

(-10%×0.5+(5%×0.5=2.5%

YGZの期待収益率

(35%×0.3)+(15%×0.4)+(-2.5%×0.3) =15.75%

YGZの分散

(35%-15.75%)2×0.3+(15%-15.75%)2×0.4+(-2.5%-15.75%)2×0.3
211.31(%)2

YGZの標準偏差

211.3114.54

 

証券とポートフォリオの収益率とリスクを整理する。

 

 

期待収益率

標準偏差

証券YG

17.0%

19.52%

証券YZ

14.5%

10.36%

ポートフォリオYGZ

15.75%

14.54%

 

L子さんの選択
証券YGと証券YZをそれぞれ単独で投資するか、各50%ずつ投資してポートフォリオで保有するかを比較した場合、証券YZの投資が最もリスクが少なくなります。ただ、証券YGと証券YZの投資の組合わせ率によっては、リスクを低く抑えた効率的なポートフォリオ運用が可能となります。投資信託などの投資効率を計る尺度としてシャープレシオがあります。

シャープレシオ・・・ポートフォリオにおける超過リターンがそのリスクに占める割合(比率)のことで、ポートフォリオの運用効率を表します。上記のポートフォリオYGZの場合、「期待収益率÷標準偏差」で算出し、1.08となります。 

.ポートフォリオ効果と相関係数
ポートフォリオ効果の程度には、組入れる証券同士の動きが似ているかどうかという「相関関係」が大きく作用し、「相関係数」で現されます。相関係数は各変数の関連性の強さを現す尺度です。

相関係数=1

変数同士は完全に同一方向に動く

相関係数=-1

変数同士はまったく逆に動く

相関係数=0

変数同士の動きは全く関係を持たない。

 

証券同士の相関関係が小さいほど、ポートフォリオ効果は大きくなり、マイナスの相関関係において、ポートフォリオ効果は最大に近づきます。

コメント

効用無差別曲線、効率的フロンティア、分離定理、シャープレシオなどのポートフォリオ理論については、基本を理解しておきましょう。  

 

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