「給料落ち」と「ブランド落ち」に強くなる失業 

●現実の今を見る
 オバマ新大統領の就任演説を聴いて、ある意味、ほっとしたところがあります。昨年の大統領選勝利演説を読むと(あのスピーチライターは27歳の青年だそうです)、あまりに素晴らしかっただけに、あれ以上の原稿が書けるのだろうかと人ごとながら心配していました。実際には、今回の就任演説でのオバマ大統領の言葉は、アメリカ国民に今の厳しい現実を直視してほしいと訴えるものでした。演説は、情緒的でもなく、賛歌的でもなく、現実に立ち向かう勇気が必要なのだ、と。

 日本にいる私たちも、今は現実を見る必要があります。トヨタに続き、ソニーが大幅な人員削減策を発表しました。今や、誰もが「失業」の二文字から避けられない可能性があります。いたずらに不安をあおるつもりはありませんが、これが今の現実です。個人の生活に限って言えば、今いる会社を離れた時、当面の問題として生活していけるかどうかを早めに確認してみることです。まず、お金の問題です。

●失業手当で食っていけるか
 今、45歳とします。大企業の社員なら、あまり転職もなく勤めてきているでしょうから、雇用保険の被保険者期間は20年以上になります。もし解雇となれば会社都合となりますから、330日(11ヵ月)間、失業手当(雇用保険の基本手当)がもらえます。どれくらいもらえるかは、その人の賃金によります。大手企業の社員であれば、一日にもらえる手当(基本手当日額)は、上限の7,775円になると考えられます(詳しい計算は省きますが、賞与を除く月給が約46万円以上ならこの金額におおよそ該当します)。一日7,775円であれば月に233,250円、これが11ヵ月ですから総額2,565,750円。税金はかかりませんから、丸ごと手に入ります。

 また、早期退職扱いなら退職金の上積みがあるでしょう。仮にないとしても、20数年間働いてきた分の退職金は出ると思います。それさえないとしても、会社都合ですから退職に当っていくらかの手当が出てもおかしくありません。これらの金額と先ほどの失業手当、そして現在の貯蓄、すべて合わせてどれだけの猶予が可能かを把握してみてください。

 これで、再就職までの期間に合わせての収入が見えてきます。支出では、日常生活費のほか教育費や住宅ローン(家賃)の支払いも考慮します。退職手当があれば、一部分をそれに充てることができます。いざとなれば、配偶者(40代)、子ども(10代後半)が団結して支出を切り詰め、パートやアルバイトで収入を稼げば何とか切り抜けられるかもしれません。

●ブランドとプライドを捨てられるか
 失業手当を「なんだ、そんな程度のものか」、と考えるかそうでないかで、その後の求職活動がずいぶん変わってきます。上場企業の管理職にいた人に限って、プライドなのか知りませんが、「今さら職安(ハローワーク)なんか行けるか」、と言って失業給付の手続きをとらない人がいるようです。好況期と違って不況期の再就職は長引き、辞めた時に手続きしておけば、と後で悔やむそうです。

 また、上場企業にいた人ほど、前職と同じ待遇(給与や役職、福利厚生)にこだわるようです。上場か非上場かに加え、会社のあった土地やビル、社員数、施設や設備、こうした眼に見えるブランドについても再就職に際して敏感で、同じレベルを求めがちです。そういう人ほど、今まで自分が身に着けていた(身に着けさせてもらっていた)「一流会社」というブランド&プライドの面で、現実とのギャップに悩むことになります。

 問題は、再就職のための求職期間がどれだけ続くか見えないことでしょう。これが最も不安になるところです。大きな会社では、何ヵ月前から退職の「内示」(いわゆる退職勧告)があると思いますので、その時点から転職エージェントなどに登録しておくのも一手です。そうすることで、少しでも失業期間を短くすることが可能となります。

 仮に離職することになったとしても、お金の問題では当面何とかやっていけると判断できるなら、今からいたずらに不安にならずにすみます。この時機を機会に、将来のためにキャリアを積むきっかけが訪れたと思うほうがいいでしょう。そういう人は、「給料落ち」にも「ブランド落ち」にも強い人です。

2009.01.25

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