知らないうちのデリバティヴ ― 仕組み預金

銀行の定期預金の金利が0.1%(年率)という中で、それを大きく上回る金利の預金が広告に載っていたりします。

デリバティヴの一種を組み込んだ仕組み預金である場合があります。デリバティヴというのは、一般の預金者には、仕組まれているかどうかも分かりにくいうえ、その仕組み自体もよくわからないようです。

仕組み預金の中に、二重通貨預金というものがあります。これはデリバティヴの通貨オプションを組み込んだもので、円で預け入れて、利息が円で支払われます。ところが、満期時に、元本そのものは円で戻るか外貨で戻るか、預金者自身で決められません。為替変動により銀行が決めるのです。

この金融商品は、通常の預金に比べ、金利が高いという最大のメリットがあります。「預金の最大メリットは高金利」という人なら、これだけで何も言うことがありません。しかし、この商品のもつデメリットに比べると、そのメリットがいささか危うくなってきます。

まず、為替の変動によって、元本が円で戻ってくるか外貨で戻ってくるか自分で決められないこと。これは預金者にとっては大きなデメリットです。プット・オプションというものを、預金をした時点で銀行によって仕組まれているからです。

「売る権利を売る」という、なんだかよくわからない仕組みで、これは、円高になればなるほど、預け入れている外貨の損失が拡大していくオプションです。損失が拡大していくから、そのまま満期になると銀行は外貨のままで預金者に元本を戻します。

「あちち」と言って、焦げすぎた預金者の栗を拾い出して放り投げ、「あとは自分で好きなようにして食べてください」と言われるようなものです。預金者は「焦げすぎて食えない栗」(外貨)を「焦げすぎた」状態(円高)で円に換えざるをえないのですから当然、為替差損が生じます(これだけで金利分が吹っ飛んでしまうでしょう)。

逆に、円安になった時は、通常の外貨預金であれば為替差益を得られるのですが、この為替差益については銀行が受け取るようになっています。銀行は円安のときに預金者に円で元本を戻しますが、戻された預金者は為替差益の恩恵は受けられません。そういうオプション取引を知らずに組まされているからで、そういう仕組みであることすら知らずにこの商品を「買う」ことになるのです。

これが詐欺だとは言いませんし、一概にオプションが悪いというのではありません。あらかじめ理解していれば、経済や為替状況によっては、この商品が強みを持つことがあります。いちばんの問題は、個人投資家がよくわからずに、あるいはよく説明してもらえずに、商品を買ってしまうことです。だから「詐欺にあった」ように思えてしまうのです。

家電など眼に見える商品なら、納得いくまで聞いて買うのに、金融商品は眼に見えないばかりに(綺麗なパンフレットで苦心して見えるようにしてますが)、目先のメリットだけで買ってしまいがちです。

 (2010.01.09)

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